砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)


【ユーザーによる評価】 平均評価: 4.5/ 総数: 25件
[5点] 何度読んでも飽きることがない
私はやはり、単行本ではなく文庫のほうをおすすめしたい。
甘い絵と苦い文章との大きな「ずれ」がないと、自分自身がその世界に完全にのみこまれてしまうと思う。あまりにも脆い精神と強く望むものとが小さな場所に入り組んでいて、息ができなくなる。
一度読んだだけで、すべてを理解できる人はほとんどいないと思う。何度も読み返し、その中で新たな見方や、真実を知ることができる作品だと思う。 (2008-03-14)
[5点] 丁寧な文章
評価の高い、衝撃の冒頭。
一つ一つの言葉を丁寧に紡いだ文章。
救いなく、訴えかけるストーリー。
タイトにまとめた構成。
心に残る登場人物。

才能がある人が丁寧に書いた文章。
それを読むだけでも価値があると思います。
(2008-03-11)
[5点] 友情物語
世間から愛されなかった
二人の少女が出会い
、そしてその別れまでの一ヶ月間を
綴った物語。
場面場面の田舎街の描写が、物語全体に緊迫感を与え
、展開もテンポ良くて、サラッと読めてしまいます。
しかし、冒頭部分に衝撃的な結末が描かれており
、ページ数が進むにつれ、
「この子達は、こんなに頑張ってるのに…どうして?」
とその時が来るのが、恐くなって読みたくなくなります。
しかし、それが、彼女が初めてできた親友の為に選んだ道
なのです。主人公はそのメッセージをしっかり受け止め
、世間を実弾としてしか受け止めていなかった自分から
前へと歩き出します。
残酷な描写も、確かにありますが、それが物語の本質ではありません。
これは、
自己を犠牲にし、親友に前を向いて欲しかった少女と
全身でそれに答えた少女の
一生忘れる事のできない一ヶ月の友情物語です。


(2008-01-23)
[5点] 少女特有の脆さ

「好きって、絶望だよね。」



中三の、回りの誰から見て完全なるも少女だった時に読んだ。ラノベの手軽に読める文学性を求めて購入した。絵が可愛いから、桜庭一樹さんの作品だから、と、案外軽い気持ちで。
だけれど、この本は軽い気持ちで読んでいい作品ではない。

主人公の少女二人は、守ってもらわなくてはいけない子供の立場にありながら、守ってもらえなかった。安心感の感じられない少女達だった。それに対して片方は早く大人になろうと実弾を欲し、片方は早く逃げようと砂糖菓子を撃った。

少女特有のいつも何かに追われている感覚。読んでいてそんな感覚に陥った。一番始めのページで既に痛々しい真相が描かれている。だからこそ、藻屑の結末が切なく、痛い。

正直トラウマになった。読後感はただただ、苦しかった。
だけど、多くの人に読んでもらいたい。
藻屑が撃った弾丸を、知ってもらいたい。

砂糖菓子では、生きられないのだ。


(2007-07-04)
[4点] 生きてく痛み。
主人公・山田なぎさは母子家庭で兄は引きこもり。
中学校を卒業したら、自衛隊に入隊して「実弾」を手に入れたいと願う。
一方、転校生の海野藻屑は、父はアイドル歌手の上、家はお金持ち。
「僕は人魚なんだ」と言い張る藻屑が、なぎさには空想世界でぽこぽこと砂糖菓子の弾丸を撃っているようにしか見えない。
けれど、藻屑のほうがなぎさよりもずっとシビアーな現実を生きていた。

この少女二人の対比が本当にすごいです。どちらの痛みも理解できます。
また主役二人だけでなく、脇役の存在感も深いです。
個人的には、なぎさたちの担任が印象的でした。

桜庭一樹さんはすごく懐の広い方なのだろうなあと思いました。
表紙のイラストで手に取るのを一瞬躊躇ってしまいそうですが、
読みおわったあとで再び見返すと、
まるで砂糖菓子にまみれたようなこの甘いイラストも、物語の演出の一つのように思えてぐっときました。 (2007-05-13)
【関連商品も見たい!】
 ・ 少女には向かない職業 (創元推理文庫 M さ 5-1)
 ・ GOSICK―ゴシック (富士見ミステリー文庫)
 ・ ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)
 ・ GOSICK〈2〉ゴシック・その罪は名もなき (富士見ミステリー文庫)
 ・ ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)