死神の精度 (文春文庫 (い70-1))


【ユーザーによる評価】 平均評価: 4.5/ 総数: 22件
[4点] 死神がいいかんじ
伊坂さんの作品では死が頻繁に登場するように思いますが、この作品は死神が語り手です。
だけど、他の作品と比較すると、それほど深く考えないで楽しく読めるもののように思います。
(他の作品が楽しく読めないというわけではないですが、作者の思いというか祈りが込められているような感じがします)

短編で、死神・千葉が死の対象者を相手に生死を決定するための調査の仕事をします。
描かれている死神の役割がちょうどよく、逆に対象者の人生とその素晴らしさを引き立たせるようです。
また、人の死に感慨を持たず仕事をこなすけれどどこか憎めない死神・千葉の人柄(というのか?)もちょうどいいです。

一話一話読みきりですが、終わりの方の短編でさりげなく前の方の短編の登場人物が現れます。
面白かったです。続編に期待したいです。 (2008-04-03)
[4点] 伊坂ワールドを満喫
以前読んだ『グラスホッパー』を思い起こしました。
今回は死神を用いて、人間の生死を軽やかに俯瞰している点が、実に興味深かったです。
毎度のことですが、主人公を始めとした登場人物が、本当にユニークな設定で、読むほどに可笑しくて、でも愛おしくなってきます。

短編集と思いきや、実は繋がっていて、その壮大な時系列にハッとさせられました。
そして、その間ずーっと人間を観察してきた死神の言葉には、格言に近いものを感じます。
例えば、「人のやることは、たいがい無駄なものだと思っている。」「そういう下らないすれ違いは人間の得意とするところじゃないか。」
なんていうフレーズは、小さい世界で汲々となって息が詰まりそうな時には、こんな風に俯瞰してみるのも悪くないなと感じさせてくれます。

死神さんの非情さが、時にズレてるところ最高です!
ミュージック大好きで、CDショップに入り浸っていて、『変わってますね』とよく言われる人は、死神さんかも?と期待しちゃいます。
ただし、私には「可」は出さないでほしいけど。。。 (2008-03-30)
[4点] 死神の台詞
「千葉さん、あんた、面白いな」(本文より)

とある死神を軸にした、6つの短編からなる1つの物語。
感想を一言で言うのなら、さまざまな人間が言っている上の一言に尽きる。
死神の千葉さんのセリフが、いい感じにずれていておもしろい。
愛しているのが、「音楽」と言わず「ミュージック」であるところもいい。

あと、おもしろいと思ったのは<死神時間>とでも言うべき、時間の流れ方。
人間の中ではすごく時間がたっているのに、いつまでも死神は変わらない。
そのことにはっと気づく場面がいくつかあって、そうした小技からも、ああ彼らって本当に死神なんだなあ、と思えたりする。

この作品が好きなら、海外文学だったらレイモンド・カーヴァーあたりがおすすめ。
いい感じにずれまくっている会話を堪能できる。
よきエンターテイメント。 (2008-03-22)
[4点] 文面の精度。
何気無い刹那さが見え隠れする、湿度の高い1冊。
主人公の示す、感情豊かな無関心が魅力的。
思わぬ伏線とさり気無い回収もスマートで、心地好い。
長過ぎず短過ぎず、最も適切な分量も、精度の高い計算の産物なのか。 (2008-03-18)
[5点] 落とし前もつけれてる
まず一言、さすがです。
「伊坂幸太郎の短編集かあ」といった感じで読みましたが、期待以上でした。
死神が主人公なのにリアリティは失っていないし、(かえってリアリティがあるくらい)安っぽい感じになってないのはさすがだなと思う。

さらっと読めるし、最後にはオチがちゃんとある。
死がテーマではあるけれど、読み終えたら心が温かくなるような、そんな作品。

重力ピエロを読んだあとにこの作品を読んだため、「旅路に死神」でのあの人の登場はなんだか嬉しかった。


「ここで話終わり!?」的なのもありますが、その先を想像するのも面白い。

(2008-03-15)
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