夏と花火と私の死体 (集英社文庫)


【評価】 平均評価: 4.5/ 総数: 111件
[4点] 時代の雰囲気。
表題の作品は、友人殺害の証拠隠滅を目指す兄妹の物語であるが、ロールプレイングゲームのように
次々と難題が降りかかり、その度にスリルを抜けていく展開は、まるでテレビゲームのようである。
現代風でありながら、牧歌的な農村の田園風景と夏の花火大会、お宮という設定がどこか懐かしく、
時代を超越した不思議な雰囲気を醸し出している。
ゲームオーバーを迎える結末が、作者らしく、読者に驚きを与える。
集録されているもう一話の「優子」は、一転、設定が古典的で、別の趣が楽しめる。 (2008-05-02)
[4点] 裏の裏の裏の裏の裏の………
「あの」乙一のデビュー作。
デビューからやってくれています。
予想を裏切る展開をまた裏切る展開のまた、そのまた、そのまた、・・・・・。

終末がどうなるのかわからないという彼の天性の構成力と才能はわずか17歳で受賞した当初から頭角を現しています。

第六回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞受賞作。 (2008-03-20)
[5点] ハラハラしますっ!
夏と花火と私の死体はスピード感があってハラハラしながら読みきってしまいました!そして死んだ人が話を語っていることも新しくてよかったです。
夏と花火と私の死体は乙一さんが17歳のときにかいた作品らしいです。たったの17歳でこんな作品ができると読んだときとても驚きました。乙一さんは私のアイドルです!

優子のほうはハラハラはしなかったけどとても怖かったです。でもちょっと驚く結末がまたひゃっとくる(?)ので呼んでみてください。 (2008-03-14)
[3点] 第三者の一人称
乙一さんのデビュー作だということで、読んでみる。
タイトルになっている『夏と花火と私の死体』は、殺してしまった五月ちゃんの死体を、健くんと弥生ちゃんがどうにかして抹消しようとして東西南北奔走する物語。殺された五月ちゃんの一人称で語られているのが、斬新だ。そして最後は緑さんという健・弥生兄妹の従兄弟に分かってしまって・・・後は読んでからのお楽しみ。
書き下ろしで収録されている『優子』は何が真実なのかなにが真実でないのか、背筋がうずうずする物語。人形がでてくるとどんな物語でも薄ら怖くなると感じるのはわたしだけか? (2008-03-03)
[5点] 衝撃作
この物語は、最初から最後まで幼い主人公の少女の一人称視点で語られていく。しかし、タイトルにもある通り、少女は序盤で殺され、死んでしまう。しかしそれでも語りベは、「死体」となった少女の目線で最後まで語られる。これがとても斬新で衝撃的だった。少女が殺されたとき、「え!?このまま進行するの!?バトンタッチとかしないの!?」と大変驚いた。そして、友達を殺してしまった罪悪感と恐怖に苛まれ怯える妹に対し、友達の死体を目の前にしても冷静で淡々と死体を隠そうとする小学生の兄が妙に怖くて衝撃的だった。まして、その彼が妹思いの心優しい少年と先に紹介されているから尚更恐怖が増す。

主人公が死体になってから、あくまで「私」という一人称を使うだけで目線は三人称視点と変わらないのかなと思いきや、ちゃんと「死体」目線で物語は語られていく。「私の死体を」とか「じっと見られて恥ずかしい」など、小学生の幼い女の子の等身大の気持ちはそのままに、「死体である自分」がどのようになっていくか語られ、言わば「生きる死体」がこの物語の一部始終を見届ける。
今の乙一のように巧みに仕組まれた仕掛けのような小説の作風はまだないが、それでもこの斬新な語り口から当時から既に小説に独特な工夫を懲らしていたのが伺える。今の乙一の小説のような大どんでん返しの結末の驚きはなく、終始淡々としたものではあるが、それでも読み終わったあとに不思議とゾクッとくる寒気を感じさせる。当時16歳ということを考えると、この潜在能力の高さ。
この小説を読んで、将来に期待しない人はいないだろう。
(2008-02-19)
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